[ カタロニア語 | チェコ語 | 英語 | フランス語 | インドネシア語 | イタリア語 | 日本語 | ポーランド語 | ルーマニア語 | ロシア語 | スペイン語 ]
多くの人々は、GNU プロジェクトの精神とはソフトウェアの複製物を頒布する にあたりお金を取ってはならないということだ、とか、もし取るにしても頒布 コストをまかなうに足るだけの、できるだけ小額の手数料しか取ってはいけな いということだ、と勘違いしています。
実際のところ私たちは、フリーソフ トウェアを再頒布する人々に、お金を欲しいだけ、あるいは取れるだけ請 求することを推奨しています。これを知ってびっくりした方は、下もお読み下 さい。
「フリー」ということばは2種類の正当かつ一般的に通用する意味を有してい ます。一つは「フリーダム」のフリー、自由で拘束や障害が存在しないという ことであり、もう一つは価格がフリーである、すなわちタダであるということ を意味します。今私たちが問題としているのは「フリーダム」の方であって、 価格ではありません。(「言論の自由」の自由であって、「ビール・ご自由に お飲み下さい」の自由ではないのです)。具体的には、この言葉はユーザがプ ログラムを実行したり、プログラムに変更を加えたり、あるいはプログラムを 代価の有無を問わず再頒布することが「フリー」である、ということを意味し ています。
フリーなプログラムは無料で頒布されることもあれば、相当な値段がついて頒 布されることもあります。同じプログラムが違う方法、異なる場所から入手可 能なこともよくあります。いずれにせよユーザは使用については自由を有する ので、プログラムは値段とは関係無くフリーであると言えるのです。
フリーではないプログラムは通常高額で販売されますが、販売店があなた にタダでコピーをくれることがあるかも知れません。しかしながら、このこと はそのプログラムがフリーソフトウェアになったということを意味しないので す。値段がついていようがタダだろうが、ユーザには自由が無いのでプログラ ムはフリーではないのです。
フリーソフトウェアであることと値段とは関係ないので、値段が安いからといっ てそれがもっとフリーであるとは言えませんし、フリーにより近いというわけ でもありません。ですから、もしあなたがフリーソフトウェアのコピーを再頒 布しているならば、相当の額を請求してお金を儲けるほうが良いわ けです。フリーソフトウェアを再頒布することは立派でかつ合法的な活動です。 もしあなたが再頒布を行うなら、利益を得た方が良いのです。
フリーなソフトウェアとはコミュニティの活動の一環です。そして、フリーな ソフトウェアを日常的に使う人ならば誰しも、コミュニティの建設に貢献する 方法を探すべきです。頒布者にとっては、貢献する方法とは利益の一部をフリーソフトウェア財団かその他のフリーなソ フトウェアの開発者プロジェクトに寄付することです。開発を資金的に援助す ることで、あなたはフリーソフトウェアの世界を発展させることができます。
フリーなソフトウェアを頒布するのは、ソフトウェアの開発資金を得 る良い機会です。逃しちゃダメですよ!
資金援助をするためには、多少の利潤を得ることが必要です。もし頒布に当たっ てあまり低い値段を付けると、開発を援助するに十分なお金は集まらないでしょ う。
人々はしばしば、フリーソフトウェアに高い頒布手数料が設定されて、あまり お金を持っていないユーザには手が届かない代物になってしまうのを心配しま す。独占 的ソフトウェア (18k キャラクタ)に関して言えば、実際代価の高額さが ユーザにとってソフトウェアを高嶺の花としてしまっています。しかし、フリー なソフトウェアでは事情が違うのです。
その違いとは、フリーソフトウェアは自然と広がっていく性質があり、入手す るのにいくつもの方法があるということです。
ソフトウェアを囲い込んで独占しようとする輩は必死になって、彼らの要求通 りの金額を払わずにあなたが独占的プログラムを使うのをやめさせようとして います。もしこの価格が高ければ、懐の寒いユーザにとってはプログラムを使 うのが困難になってしまいます。
フリーソフトウェアに関しては、ユーザはソフトウェアを使うために頒布手数 料を払う必要は全く無いのです。ユーザはプログラムのコピーを持っ ている友だちからコピーさせてもらうこともできますし、ネットワークに接続 できる友達の助けを得て入手することもできます。あるいは何人かのユーザが お金を出し合ってひとつのCD-ROM を購入し、そしてかわりばんこにソフトウェ アをインストールしても良いのです。ソフトウェアがフリーであれば、CD-ROM の値段が高かろうと大した問題にはなりません。
もう一つのよくある懸念はフリーソフトウェアの人気に関するものです。人々 は、頒布手数料が高額ならばユーザの数は減り、コストが安ければユーザは増 えるだろうと考えています。
独占的ソフトウェアではこの心配が現実のものとなります。しかし、フリーソ フトウェアにおいては事情が違います。コピーを手にいれるのにはいくらも方 法があるので、頒布コストはソフトウェアの人気に大した影響をもたらしませ ん。
長い目で見れば、フリーソフトウェアを使う人々の数は主にフリーなソフトウェ アにどれだけのことができるか、そしてどれだけ簡単に使えるかで 決定されるでしょう。多くのユーザは、もしフリーなソフトウェアが彼らのや りたいことすべてをこなせないならば、独占的ソフトウェアを使い続けるでしょ う。そこで、もし私たちが長期的にユーザ数を増やしたければ、フリーな ソフトウェアをもっと開発していくことがとりわけ重要になってきます。
フリーソフトウェアの開発に当たり、最も直接的な方法は、必要とされるフリーソフトウェア か、マニュアル を自分で書くことです。しかし、もしあなたがプログラムを書くより頒布する 方を選ぶならば、コミュニティを援助するためにあなたにできる最良の手段は プログラムを書く他の人々を資金的に援助することです。
厳密に言えば、「売る」とはものをお金と交換することです。フリーなソフト ウェアのコピーを「売る」ことは合法ですし、私たちはそれを推奨しています。
しかしながら、人々が「ソ フトウェアを売る」ということを考えるとき、大抵は多くの会社がやって いることと同じようなことを思い浮かべます。すなわち、ソフトウェアをフリー ではなく、独占的にするということです。
ですから、この文章で私たちがしているように、あなたがことばの使い分けに 細心の注意を払わない限りは、「ソフトウェアを売る」という言い回しを使う ことを避けること、そして他のことばを選んで使うことをおすすめします。例 えば、「フリーなソフトウェアを手数料を取って頒布する」などです。これな らばあいまいさがありません。
一つの特別な例外を除いては、 GNU 一般 公衆利用許諾契約書 (20k キャラクタ) (GNU GPL)はフリーなソフトウェ アのコピーを頒布する際にあなたが請求できる額については一切条件を設けて いません。あなたは無料で配ることもできますし、1ペニー請求しようが、1ド ル請求しようが、100万ドル請求しようが構いません。あなたと、そして市場 次第です。ですからコピーひとつに誰も100万ドル払いたがらないからといっ て私たちに文句を言わないで下さい。
一つの例外とはバイナリのみが対応する完全なソースコード抜きで頒布される 場合です。このような方式をとる場合は、 GNU GPL によってソースコードを 請求に応じて提供することが義務付けられています。ソースコードの頒布手数 料に制限がないと、一般の人が払うには高額すぎる手数料、例えば100万ドル とかを設定して、ソースコードを提供するふりをしながら実は隠匿する、とい うことが可能となってしまいます。そこでこの場合私たちは、ユーザの自由を 確実なものにするためソースコードの手数料に制限を加える必要があります。 しかしながら普通考えられる状況においては、頒布手数料に制限を加えるいか なる正当な理由も存在しませんから、私たちは制限を設けません。
GNU GPL の許可する範囲を逸脱した活動を行っている企業が、GNU ソフトウェ アには課金しないからとか言ってお目こぼしを嘆願してくることがあります。 しかし、このやり口は通用しません。フリーソフトウェアのフリーは自由のフ リーであり、GPLを行使するということは自由を守るということなのです。私 たちがユーザの自由を守るというとき、私たちは頒布手数料をいくら取るかな どといった横道の議論にはそれません。自由が問題で、問題の全てであり、ま た唯一の問題なのです。
GNU のホームページに戻る。
FSFおよびGNUに関するお問い合わせ、ご質問は gnu@gnu.orgまでどうぞ。 FSFと連絡を取るには他の手段 もあります。
これらのウェブページに関するご意見は webmasters@www.gnu.org まで、その他のご質問は gnu@gnu.orgまでお送りください。
Copyright (C) 1996, 1997, 1998,2001 Free Software Foundation, Inc., 59 Temple Place - Suite 330, Boston, MA 02111, USA
本文に一切変更を加えず、この著作権表示を残す限り、 この文章全体のいかなる媒体における複製および頒布も許可する。
翻訳は八田真行<mhatta@gnu.org> が行いました。
Based on: 1.6
Updated: Last modified: Tue Aug 27 02:42:55 JST 2002